さまざまな要因が重なっていることがほとんどです。原因が特定できない場合もあります。
- 「ひきこもり」のきっかけは明確な人もあれば、はっきりしない場合もあります。相談に来られる御家族が思い当たるきっかけとしては、「いじめ、不登校などの学校に関すること」「職場や仕事に関すること」「進路選択の失敗に関すること」が多いようです。
- 学校や職場で「いじめ」や「きつい労働」などの辛い経験があって、外出しにくくなったり、電車に乗れなくなったりすることがあります。また、目標を見失ったり、対人関係がしんどくなったりして無気力になり、社会生活を営みにくくなることもあります。個人を取り巻く様々な要素が、相互に絡み合って「ひきこもり」にいたると考えられ、「本人の性格」や「親の育て方」などの一面的な理由からだけで、起きるわけではありません。むしろ、本人はもともと真面目で優しい性格の方が多いようです。
- 健康な方でも一時的に「社会的ひきこもり」状態になることがありますし、統合失調症やうつ病などの精神疾患によって起こる場合もあります。
「ひきこもり」と精神疾患
精神疾患の中には「ひきこもり」やそれに似た症状をもたらすものがあります。状態としては似ていますが、対応方法が違ってきますので、注意が必要です。いずれにせよ、早めに相談することが大切です。
統合失調症
統合失調症の中には、次第に無口になって成績が下がり始め、だんだんと部屋にこもりがちになるという、経過が非常に「ひきこもり」と似たものがあります。また、陰性症状といって、傍から見ているといつも疲れやすく無気力でごろごろしている、といった状態が続くものもあります。
うつ病
ゆううつな気分と共に、意欲の減退、集中力の低下などが生じ、自分自身に対する感情も大変否定的になってしまいます。便秘や食欲不振、朝早く目が覚めるがなかなか起き上がれない、といった身体症状を伴いがちです。
強迫性障害
例えば「自分の手は汚れているのではないか」といった、一つのものごとに考えがとらわれてしまう症状(強迫観念)と、それに左右されて、例えば一日に何十回となく手を洗う等、同じ行動を何度も繰り返す症状(強迫行為)があります。
摂食障害
体重の減少に対して強いこだわりがあり、拒食や、過食と嘔吐の繰返しといった症状のほかに、自分に対して自信が持てないことから対人関係で困難を感じる状態におちいってしまっていることも多く、結果として「社会的ひきこもり」になることがあります。
〈京都府保健福祉センター心のためのサービスガイドより〉