本人がひきこもって家族と口をきかないか、あるいは本音を言わないため、何を考えているのか、どんな風に感じているのか分からず、家族は不安になるかもしれません。人によってさまざまではありますが、以下のような気持ちを抱いてることが多いようですので、参考にしてください。
1. 傷つきやすさ・自信のなさ
ひきこもっている青年の多くは、心が傷つきやすく、自信が持てない状熊にあります。たとえば、自分の容姿や他人の視線が気になって、出るに出られなかったり、同年代の友人と自分を比べてしまい劣等感を感じたりします。自分の今の状態を人に知られたり、とがめられたりすることがないように、心理的・物理的にひきこもらざるを得ないのです。
2. 自責感・あせり・いらだち
社会や家庭で本来の役割を果たせていないことを、本人が一番気にしています。そして自分を責め、悩んでいるのです。あるいは、社会のレールからはずれてしまったというあせりがあるかもしれません。そのようなときに人から注意されると、余計に気持ちが落ち着かなくなり、やりきれない思いにかられます。このようなときは、落ち込んで自室にこもったり、親や近親者へ暴言や暴力が向かうことがあるかもしれません。本人も望んでそうしているわけではありませんので、家族が上手に距離を取ることで、本人の気持ちが収まってくることもあります。
3. 周囲への不信感・過敏さ
ひとりでゲームやビデオなどに没頭しているかもしれませんが、心底楽しんでいるわけではありません。心の中では、自分が何もせずに家にいることを、家族がどう思っているのか、あれこれ考えをめぐらしています。家族の期待や不安に過敏に反応し、不信感を抱いたり、非現実的な夢を空想したりしながら、人一倍神経を使っています。また、辛い経験を思い出して世の中を恨めしく思うこともあるかもしれませんし、熟睡できないために、長時間にわたって寝ていることもあります。
4. 助けを求めたいが、ためらう気持ち
家族に負担をかけ続けるのは心苦しいけれど、かといって自分が何をしたいのか、何ができるのか分からず、行動を起こす意欲もなかなか出てきません。いっそ消えてしまえたら、と思うこともあります。また、相談したからといって解決するのか、と懐疑的になっているかもしれません。それでも、心のどこかで何とかしたい、自分を理解して欲しい、という気持ちは抱いているものなのです。
右に動いても左に動いてもバランスを崩すとき、人は立ち止まります。何もしていないように見えて、必死にバランスを取っているのかもしれませんね。
〈京都府保健福祉センター心のためのサービスガイドより〉